山梨県南アルプス市にて、体験型フリースクール「みんなのおうち」を運営しています!

フリースクール運営の実態を語ります!

こんにちは!

中西紀説(なかにしのりつぐ)と申します。どうぞ「のんちゃん」と呼んで下さい!

私は山梨県南アルプス市で不登校児の居場所として体験型フリースクール「みんなのおうち」を運営しています。

私自身、中学生の時に不登校を経験しました。その時に負った劣等感・無能感・自己否定感がトラウマとなって40歳まで苦しみ続けました。一時は引きこもりとなり、自殺未遂を図ったこともあります。父親となってからは我が子も不登校となりました。フリースクールを始めてからは沢山の子ども達と関わってきました。

そんな人生を通して得た大切な気付きや想いを綴るブログです。

「フリースクールの運営ってどうされているんですか?」

最近、そのように聞かれることがよくあります。そこで今回は、フリースクール運営の実態について語りたいと思います。

まず、結論として言えることはフリースクールは事業収入だけでは成り立たないということ。利用するご家庭から利用料を頂いているのですが、それだけで成り立つ事業ではないのが現実です。その意味で、運営は非常に難しいと言えます。それは何故なのか?以下に詳述します。

フリースクールの運営が難しい理由

まず、フリースクールには国からの公的な補助金がありません。現在の日本では、フリースクールに対する具体的な定義がないため補助金が下りないのです。自治体によってはフリースクールに対する補助を行っているところもありますが、まだまだ一部に限られているのが現状です。

また、フリースクールは一般的な学校と違い、異学年の子ども達が一緒に学んだり活動したりする場です。子ども達が求めているものや好きな活動も様々ですし、居場所的な要素や体験学習を取り入れているところも多く、子ども達の個別的なニーズに応えるには人手が必要なのです。一般的な学校のように先生一人で何十人の子ども達を相手には出来ず、圧倒的にマンパワーが必要な業種だと言えます。

さらに、職員がフリースクールだけで生計を立てるのは困難という事情もあります。フリースクールの職員は約3割が無償ボランティアで、有償なのは約7割に留まっているからです。有償スタッフであっても週5日未満の勤務形態であることが殆どであるため、生計を立てるのに十分な報酬は得られないことが多いのです。(文部科学省 フリースクール等の支援の在り方に関する調査研究 より)

以上の理由によって、フリースクールの運営は難しい状況となっています。

フリースクールの運営が難しい理由

  • 国からの公的な補助金がない
  • 圧倒的にマンパワーが必要
  • 職員が生計を立てるのが困難

フリースクールの運営体制について

フリースクールの運営体制について、私が運営している「みんなのおうち」を例に挙げてご紹介します。

  • 開所日 火曜日から金曜日の週4日
  • 開所時間 10:00〜17:00
  • スタッフ数 5名(常勤2名・非常勤3名)
  • 子どもの数 登録数20名、一日平均10名

上記の通り「みんなのおうち」は週4日、朝10時から夕方5時まで開所しています。スタッフは私を含め5名。常勤2名、非常勤3名となっており、曜日によってスタッフの数も異なります。クッキングのある金曜日はスタッフ全員が揃い、イベントの多い火曜日も人員は厚めにしています。逆に水曜日はスタッフは少なめ。スタッフの数と子どもの数は比例する関係にあり、火曜日と金曜日は通ってくる子ども達も多くなっています。

この辺りの運営体制について明確な基準は一切ありません。よってその体制はフリースクールによって様々です。週1回のところもあれば、週5日開所しているところもあります。スタッフの数も様々ですし、開所している時間帯も様々。もっと言うなら、そこで行う活動内容も様々です。学習支援に重点を置いているところや居場所的要素の強いところ、体験学習に力を入れているところ、子ども食堂を兼ねているところなど実に多種多様なフリースクールがあり、この個性豊かな点がその大きな特徴となっています。

フリースクールの収入について

フリースクールの収入源は利用するご家庭から頂く利用料がメインとなります。ここでも「みんなのおうち」を例にとってご紹介しますね。

「みんなのおうち」の料金形態はマンスリーパスとチケット制の大きく2つに分けられます。マンスリーパスとは月謝のこと。月内であれば通い放題というプランです。一方のチケット制とはいわゆる回数券ですね。1回の利用ごとに1枚消化するイメージです。料金はマンスリーパスが39,800円、10回チケットが29,800円です。毎日通うのであればマンスリーがお得ですが、チケットには有効期間が無いというメリットがあります。よって、殆どのご家庭が体験期間の後、10回チケットを購入して様子を見ながら、毎日通うようになればマンスリーに切り替えるというパターンになっています。ちなみに兄弟姉妹で通うことを想定して、マンスリー・チケット共に兄弟姉妹割引料金も設定しています。また、上述の通り、フリースクールは個性豊かな場所です。その方針や活動内容が本当にお子さんに合っているのか、しっかり見極めることが大事になります。よって、「みんなのおうち」では2週間の体験期間を設けており、この間に吟味して頂いてから正式なお申込みを頂くという流れになっています。

それでは「みんなのおうち」の収入は毎月どれくらいなのか?登録している子どもが20名と言っても、全てがマンスリーではありません。チケットをゆっくり消化している子もいます。よって、毎月300,000円〜350,000円が収入として入ってきています。

フリースクールの支出について

一方、毎月の支出はどうなのか?「みんなのおうち」では以下のようになっています。

  • 人件費 約400,000円
  • 水道光熱費 約20,000円
  • 活動費 約15,000円
  • 消耗品費 約10,000円
  • その他(ガソリン代、保険料、税金など) 約30,000円
  • 合計 約475,000円

やはり人件費の割合が大きく、毎月約500,000円の支出となっています。

どうやって運営しているのか?

毎月の収入と支出の差額はマイナス200,000円。要するに毎月20万円の赤字です。それでは、どうやって「みんなのおうち」を運営しているのか?それは、私が「みんなのおうち」を運営している一般社団法人ワンオブハートとは別にもう一つ法人を所有していて、そこからの役員報酬を充当しているからなのです。当然、ワンオブハートからの報酬はありません。毎月完全に持ち出しでの運営が続いている状況です。もちろんこれは承知の上で事業を始めました。フリースクールの運営が難しいことも、毎月持ち出しになることも、十分に想定していたことです。

これまで如何にフリースクールの運営が難しいのかを「みんなのおうち」の実例をもとに述べてきましたが、その一方で、運営が上手くいっているフリースクールもあります。その秘訣は何なのでしょうか?それは寄付や助成金などを活用しているのです。要は外部から運営資金を調達しているのですね。地元企業とコラボした商品を開発し、その売上の数パーセントが入ってくるという仕組みを取り入れているフリースクールもあります。

そう言った事情も全て承知の上で「みんなのおうち」を始めました。将来的には外部から運営資金を調達しなければならなくなる。その際に必要なのは『信用』と『実績』です。まずはそこをしっかり固めなければ、外部に協力を求めることなど出来ません。「みんなのおうち」を開所して約2年半。これまで損得勘定は一切抜きにして、「子ども達にとってより良い環境づくり」に努めてきました。その中で少しずつ積み上げてきたものがあります。開所から3年となる来春を目処に財務状況の健全化に取り組んでいくつもりです。

何故フリースクールをやっているのか?

こんなに運営が難しいと分かっていても、何故、フリースクールをやっているのか?最後にそのことについて述べたいと思います。それは、私の人生の集大成とも言える事業だからです。私自身が経験した不登校。その際に負った劣等感・無能感・自己否定感というトラウマは40歳まで消えませんでした。我が子も不登校となり、私と同様に苦しんできました。そんな実体験を経てたどり着いた結論。それは、『自己否定があるうちは意欲が湧いてこないし、幸せを感じることすら出来ない。自己肯定感こそが意欲の源泉である。だからこそ、教育の本質とは自己肯定感を育むことである。』ならば以前の私や我が子と同様に苦しんでいる子ども達のために何か出来ることはないか?彼らの自己肯定感を育める場を創ることは出来ないだろうか?熟考を重ね、自問自答しながら、その想いを形にしたのが「みんなのおうち」なのです。ですから、たとえ運営は厳しくとも、子ども達と共に過ごし、共に成長を続ける今の環境は最幸です!楽しくて堪りません!私にとってはこれまでの人生で得た経験・学び・気付き・知識など全てを注いだ一大事業なのです!運営面は厳しいですが、「子ども達と共に成長出来る喜び。」これこそがフリースクール事業の醍醐味であると実感しています。

本日も最後までお読み頂き有難うございました。

もし、お子さんの不登校などでお悩みでしたら「お問い合わせ」の欄からご連絡下さい。

私でよろしければ真摯に対応させて頂きます。

体験型フリースクール「みんなのおうち」

代表 中西紀説

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