山梨県南アルプス市にて、体験型フリースクール「みんなのおうち」を運営しています!

長い間捕らわれていたトラウマを手放した日

こんにちは!
中西紀説(なかにしのりつぐ)と申します。どうぞ「のんちゃん」と呼んで下さい!

私は山梨県南アルプス市で不登校児の居場所として体験型フリースクール「みんなのおうち」を運営しています。

私自身、中学生の時に不登校を経験しました。その時に負った劣等感・無能感・自己否定感がトラウマとなって40歳まで苦しみ続けました。一時は引きこもりとなり、自殺未遂を図ったこともあります。父親となってからは我が子も不登校となりました。フリースクールを始めてからは沢山の子ども達と関わってきました。

そんな人生を通して得た大切な気付きや想いを綴ります。

私には長い間、無意識のうちに捕らわれていたトラウマがありました。他の人が聞いたらほんの些細なことに感じることかもしれません。しかし私はそれにずっと捕らわれたまま何十年も過ごしていたのです。そのトラウマと向き合い、それを手放すのは本当に辛かった。だけど、思い切って手放してみるととても楽になれたし、子どもを信じることが出来るようになって親子関係も改善されたのです。今日はそんな私のトラウマ体験について綴りたいと思います。

長い間私が捕らわれていたトラウマ。それは、野球です。私は少年時代、野球好きだった父の期待に応えたくて、本当は好きでもない野球を始めました。とは言え、当時はそのことについて無自覚です。自分は野球が好きなんだと思ってやっていました。ところが、私には野球のセンスが全然ありませんでした。無意識のうちに「このままでは父の期待に応えられない」と感じていた私は、中学3年生の時には実力も無いのに野球部のキャプテンを務めます。そうすることで何か足りないものを必死で埋めようとしていたのでしょう。結局、そんな無理が祟った私は不登校になり、野球部キャプテンという責任ある立場も、野球そのものも途中で放り出してしまったのです。

父の「野球」という期待に応えられなかった。
それは無意識のうちに私のトラウマとなり、胸の奥深くに巣食っていたのでした。

それから数十年の時が流れ、私は三児の父親になりました。長男と次男にも野球を勧めましたが、あまり興味を示しませんでした。ところが、三男には野球のセンスがあったのです!彼と野球で遊んでいるうち、無意識にトラウマが蘇ってきた私は、かつての父のように三男に野球の期待をかけるようになりました。そして、これもまたかつての私のように三男は野球を始めたのです。三男が野球をする姿を見るのは至福のひと時でした。何とも言えない幸福感がありました。「父も天国でどんなに喜んでくれているだろう」そう思うと、涙が溢れてくるほどでした。三男のユニホーム姿は何よりの励みとなっていました。ところが、次第に三男の足が野球に向かなくなってきました。練習に行くのを渋り出したのです。今思えば、私の期待に応えるためだけに始めた野球が苦痛になってくるのは当然なのですが、私はそこに目を向けようとしませんでした。目を向けるのが怖かったのです。実を言うと、知っていました。野球の練習中、三男に笑顔がないことを。ちっとも楽しそうでないことを。それでも繋がっていてほしかった。センスがあるのだから繋がってさえいれば、いつか好きになってくれるかもしれない。そう思って、三男を野球に繋ぎ止めておこうとしていたのです。

そんなある日、日課である早朝ランニングをしている最中に突然気付かされたのです。これは私と父との問題であると。私は自分に出来なかったことを三男で取り戻そうとしている。いまだに父の期待に応えようとしている。私の中に長い間巣食っていたトラウマの存在にはじめて気付いた瞬間でした。私と父の問題に三男を巻き込んでいたのです。そのことに気付いた時はショックでしたし、そこからを目を背けたいとも思いました。トラウマと向き合うのは本当に辛かった。。。だけど、このままでは三男がかつての私のようになってしまいます。

葛藤の末、ある晩私は三男を呼んでこう話しかけたのでした。
「実は野球は好きじゃないよね?お父さんのためにやってくれているんだよね?本当は分かってたよ。これまでゴメンね。お父さんは野球が好きだったお爺ちゃんの期待に応えられなかったのが悔しくて、君でそれを取り戻そうとしてた。お父さんとお爺ちゃんの問題なのに、君を巻き添えにしてしまってた。もう、野球を辞めよう。これ以上やらなくていいよ。これからは君が好きなことをやっていいし、君が好きなことを全力で応援するからね。ただ、最後に一言『ありがとう』って言いたい。君が野球をやっている姿を見れて幸せだった。これまで付き合ってくれてありがとう。」それは私が長い間捕らわれていたトラウマを手放した瞬間だったのです。それを手放すのは怖くて怖くて仕方なかった。そこと向き合うのは本当に辛かった。だけど、思い切って手放してしまうと一気に楽になれました。そしてそこから三男との関係も劇的に改善されたのです。

誰しも心の底にトラウマを抱えているものでしょう。ここで厄介なのが、トラウマは無意識に巣食っているということ。そしてトラウマは遺伝するのです。自分がされたことを同じように繰り返してしまう。実は今、目の前に起きている問題は自らのトラウマが原因なのかもしれません。無意識のトラウマに捕らわれていることが、根本的な原因かもしれない。

そのことに気付いた時、そのトラウマを手放す絶好の機会となるのでしょう。

本日も最後までお読み頂き有難うございました。
もし、お子さんの不登校などでお悩みでしたら「お問い合わせ」の欄からご連絡下さい。
私でよろしければ真摯に対応させて頂きます。

体験型フリースクールみんなのおうち

代表 中西紀説

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です