こんにちは!
中西紀説(なかにしのりつぐ)と申します。どうぞ「のんちゃん」と呼んで下さい!
私は山梨県南アルプス市で不登校児の居場所として体験型フリースクール「みんなのおうち」を運営しています。
私自身、中学生の時に不登校を経験しました。その時に負った劣等感・無能感・自己否定感がトラウマとなって40歳まで苦しみ続けました。一時は引きこもりとなり、自殺未遂を図ったこともあります。父親となってからは我が子も不登校となりました。フリースクールを始めてからは沢山の子ども達と関わってきました。
そんな人生を通して得た大切な気付きや想いを綴ります。
昨日は「こどもの育ちと学び研究所」の代表であり、長野県山ノ内町教育長である竹内延彦さんの講演会に参加してきました。タイトルは『こどもがしあわせに育ち学ぶために 今 私たちができること』です。以前にフリースクールのスタッフのご経験があり、不登校や高校中退の若者を支援する塾や学校を経営する民間企業に勤務され、行政で子ども若者支援や自然保育の普及推進に取り組まれたり、長野県池田町教育委員会の教育長を担当された竹内さんのお話は大変学び深く、参考になるものばかりでしたが、私が最も痛感したのは今、私達大人は「こども観」を問い直すことが必要であるということです。講演の中で出てきた言葉で印象的だったものを幾つかご紹介します。
こどもは自ら育つ
自ら育つものを育たせようとする心。それが育ての心である。世の中にこんな楽しい心があろうか。
こども期の大切さ
こども時代にやっておかなければならないことを全部済ませてからでないと、しっかりとした大人になることは出来ない。
こどもの自主性や主体性はやりたいことの中でしか育たない
こどもは自分が望んでいる色々なことを思いどおりにしてもらうと、やがて満ちたりて、どんどん自立していくものだ。満たされれば満たされるほど、むしろ自立は早くなる。
「やりたくない」を許していいの?
こどもの「やりたくない!」を翻訳すると、、、「何のためにやるの?」「やる意味が分からない!」「それって今の私に必要なこと?」「そもそも言われていることが分からない!」つまり、やる意味や価値を理解すれば、自分がやりたいことに必要だと理解すれば、こどもは納得してやるのではないか。その意味や価値を説明することなく、頭ごなしにやらせようとしてはいないか。
思春期までに取り組みたいこと
・教科学習よりも心の健康
・自信と現実感の得られる生活環境づくり
・合意の習慣を通じた自律と社会性の育成
こどもは一つ一つ違うタネ
かぼしゃのタネからきゅうりはできない。それぞれが違うタネなのだから、同じ野菜が出来ないのは当然のこと。こども同士を比較したり、競争させることに意味はない。
これらはいずれも名だたる教育者の言葉を引用したものでした。まさに目から鱗と言うような金言の連続。そしてそのいずれもがみんなのおうちで大切にしていることばかり。一つ一つ答え合わせをするように聞き入っていました。小中学校の不登校児童生徒数は約35万人、文科省が定めた不登校の定義に該当しない長期欠席者を含めると約49万人にまで膨れ上がります。さらに「隠れ不登校」は小学生で25万人、中学生で42万人もいると言われています。これらを合計すると実に約116万人にものぼります。また、小中高校等でのいじめ認知件数は73万人を超え、小中高生の自死人数は514人を超えています。これだけ生きづらさを感じているこどもが増えている今、私達大人は「こども観」を問い直すことが求められているのではないでしょうか。こどもは未熟な存在であり大人が指導しなければならない。こどもの意思よりも今やるべきことをやらせなければならない。こどもに自由を与えるよりも義務を果たさせるべきだ。こういった一方的な大人のエゴとも言える固定観念が、こどもの心を閉ざし「助けて」と言えない状況を生んでいるのではないでしょうか。不登校は、大人にとっては問題の始まりのように見えますがこども本人にとっては最終段階なのです。
1989年に国連で採択され、1994年に日本でも批准された「子どもの権利条約」の中でも、こどもは守られる存在であるとともに、権利の主体であると謳われています。学校主体からこども主体へ。学校あってのこどもではなく、こどもあっての学校。学び(教育)の場は学校だけに限らないし、不登校は学びの多様な選択肢になればいい。令和6年度版こども白書によると、日本の若者は、他国の若者に比べて、学校への満足感と自分への満足感の関連が強いそうです。つまり、学校での評価が自己評価と同一視される傾向にある。学校本位の教育からこども本位の学びへとシフトチェンジする時を迎えているのではないでしょうか。こども主体とは、こどもの育ちや学びをこども本人と相談しながら一緒につくるということ。1921年に世界初のフリースクール「サマーヒルスクール」を創設したA・S・ニイル氏は「こどもを学校に合わせるのではなく、こどもに合わせて学校を創る」と仰っていたそうです。今、私達大人が問われています。私達が変わっていかなければならない。「こども観」を改めなければならない。こどもが萎縮することなく思いや考えを発することができ、もっと生きやすい社会となるように。最後にニイル氏の言葉をご紹介します。
まずこどもを幸福にしよう!すべてはその後に続く。
本日も最後までお読み頂き有難うございました。
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私でよろしければ真摯に対応させて頂きます。
体験型フリースクールみんなのおうち
代表 中西紀説