山梨県南アルプス市にて、体験型フリースクール「みんなのおうち」を運営しています!

4年半不登校だった次男が学校に行き始めるまでの物語。

早いもので

2020年も残り一週間となりました。

コロナ禍で

世界中の状況が一変した一年でしたが、

皆様はどんな年だったでしょうか。

私にとっても激動の一年でしたが、

その中でも

特に大きな出来事だったのは、

4年半不登校だった次男が

学校に行き始めたことです。

次男は現在、中学一年生。

小学2年の2学期から

学校に行けていません。

自閉症スペクトラムの診断を受け、

学習面に困難を抱える彼は

幼稚園の頃から

何事も飲み込みが遅く、

皆んなのペースについて行けなくて、

沢山傷付いてきたようです。

当初は、

無理矢理にでも

学校に行かせようとしたこともありました。

学校まで送って行ったり、

先生やお友達に迎えに来てもらったり、

あらゆる手段を講じてみましたが

一向に効き目は有りません。

そんな彼の様子を見ているうちに、

私と妻は気付いたのです。

次男は 

学校に行かないのではない。

行けないのだと。

学校に行きたくても行けない彼は、

そんな自分を許すことが出来ずに

自分を責め続けます。

自己否定と劣等感に苛まれて、

次第に

「何故俺を産んだんだ!」

「死にたい!」

「殺してくれ!」

と荒れ狂うようになりました。

そんな彼を諭そうとして

揉み合いになった私は

誤って転倒。

顔面が血だらけになって

10針縫うような

怪我をしたこともあります。

自分が大嫌いな彼は

誕生日を祝うことすら許しません。

「おめでとう」という

称賛の言葉が

嫌で嫌で堪らないのです。

ケーキもなければ

お祝いの言葉もない。

悲しい誕生日が数年間続きました。

あの頃は本当に大変でした。

私も妻も疲弊してしまって

家の中が殺伐としていました。

一日中家の中に引きこもり、

暗い部屋で1人、

溜め息ばかりついている彼が

可哀想でなりませんでした。

「学校が全てじゃないんだよ。」

「決して君はサボっているわけではない。」

「学校には行かなくてもいいから

 一日のうちに何か一つでも

 楽しいと思えることをしよう。」

「君はそのままの君でいいんだよ。」

どんな言葉をかけても

彼の心は癒されません。

もはや問題は、

学校に行く行かないでは

なくなりました。

自己否定と劣等感に塗(まみ)れた

彼の心をいかに元気にするのか。

彼の心が癒されることが

最優先課題なのです。

大人にとっての一年と

子供の一年では

まるでその意味が異なります。

あまりに長期化した状況を変えるべく

私達家族が大きな決断をしたのは

2019年4月のこと。

環境を変えるために

縁も所縁もない

山梨への移住を決めたのです。

とは言え、

私は仕事がありますから

妻と子供達だけが移住して

私は福岡に残る逆単身赴任生活です。

山梨に移って

新しい環境となり、

始めこそ学校に行っていた次男ですが、

その内すぐにまた行けなくなりました。

やはり、

問題は環境ではなく

彼の心の中にあるようです。

家族と離れて暮らすようになって、

家族の存在の大きさや

いかに家族が心の支えであったのかを

痛感させられた私は、

自分の正直な想いを

言葉に出来るようになってきました。

山梨で家族と一緒にいる間、

次男と

色々な話をするようになったのです。

自分自身も

中学時代に不登校だったこと。

それが原因で、

15歳から25歳までの10年間は

最悪だったこと。

引きこもりになって、

死のうとしたこともあったこと。

でも、

死ねなくて本当に良かった。

今、こうして家族に恵まれて

本当に幸せだということ。

だから、

次男も今、判断する必要はない。

まだ人生は何も決まってはいない。

必ず今の経験が活きる日が来て、

自分に感謝出来る日がくる。

その日を信じて生きていこう!

緊急事態宣言下で

日本中の時間が

止まってしまったかのような中、

私は次男と色々な話をして過ごしました。

そのうち

氷河が溶けていくように

彼の心も徐々に

癒されていったようです。

少しずつ

彼本来の笑顔と明るさが

戻ってくるようになりました。

そうして迎えた

今年の6月1日。

緊急事態宣言も解除され、

いよいよ次男の中学生活が

スタートする日が来ました。

その日の朝、

いつものように

普段着に着替えて座っていた彼に

「今日の予定は?」

と訊ねてみました。

すると、

「別に。。」という返事。

そこで、

「何もすることないなら

 学校行ってみたら?」

と切り出してみました。

最初は拒否していた彼ですが、

「これまで充分苦しんできた。

君は学校に行きたいけど行けなくて

 苦しんでいる。

 だったら今日がチャンスだよ。

 中学生活が始まる今日、

 勇気を出して一歩を踏み出してみよう!

 行ってダメなら

 別な手段を考えればいいから。」

そう言葉をかけると、

何と制服に着替え始めて

4年半振りに登校出来たのです!

それからの約半年間

紆余曲折ありましたが、

学校に行き続けた彼は

昨日無事に

2学期の終業式を終えることが出来ました。

最近は友達も増え、

学校でも楽しく過ごせているようです。

こうして、

4年半に亘る

不登校期間を乗り越え、

次男は

学校に行けるようになりましたが、

私は今でも

学校が全てではないと想っています。

また再び

行けなくなる日が来るかもしれない。

でもそれは

どうでも良いこと。

学校がいやになったら、

私が開校する

フリースクールに来ればいい。

そんなことよりも、

彼が少しずつ自分を許し、

笑顔が増え、

心が元気になっていることを

何よりも嬉しく想います。

私は信じています。

自己肯定感こそが

意欲の源泉であると。

自分を許し、

自分を受け入れ、

あるがままの自分に

感謝出来るようになった時、

意欲とは

自ずと湧き上がってくるものなのでしょう。

その日が来るまで

彼を一番近くで応援する

サポーターであり続けようと想います。

不登校の改善法なんて分からない。

そもそも

問題はそこじゃない。

答えはその子の中にある。

その答えを共に見つけ出すことが

親として

最も大事な務めではないかと想っています。

昨夜は

2学期のお疲れ様会を兼ねて、

家族でクリスマス会をしました。

その時の

次男の笑顔が何よりも嬉しかったです!

皆様も

どうぞ素晴らしい

クリスマスをお過ごし下さい(^ ^)

今日も豊かな心で、豊かな一日を。

中西紀二

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