こんにちは!
中西紀説(なかにしのりつぐ)と申します。どうぞ「のんちゃん」と呼んで下さい!
私は山梨県南アルプス市で不登校児の居場所として体験型フリースクール「みんなのおうち」を運営しています。
私自身、中学生の時に不登校を経験しました。その頃に負った劣等感・無能感・自己否定感がトラウマとなって40歳まで苦しみ続けました。一時は引きこもりとなり、自殺未遂を図ったこともあります。父親となってからは我が子も不登校となりました。フリースクールを始めてからは沢山の子ども達と関わってきました。
そんな人生を通して得た大切な気付きや想いを綴るブログです。
令和4年度不登校児童生徒に関する調査結果
10月3日、文部科学省が「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」結果を公表しました。
それによると、全国の小・中学校で令和4年度に学校を30日以上欠席した不登校児童生徒数は299,048人であり、前年度から54,108人(22.1%)も増加し、過去最多となっています。在籍児童生徒に占める不登校児童生徒の割合は3.2%(前年度2.6%)に達しました。不登校児童生徒数の増加は10年連続で、10年前と比較すると小学生は3.6倍、中学生は2.1倍増となっています。
不登校児童生徒の内訳は、小学生が105,112人(前年度比29.0%増)、中学生が193,936人(前年度比18.7%増)となっています。年間の欠席日数が90日以上の児童生徒は165,669人で、不登校児童生徒全体の半数を超える55.4%を占めています。不登校児童生徒のうち約4割にあたる114,217人は、特別支援担当教諭や教育支援センターなど学校内外の専門機関に相談すら出来ていません。
文部科学省による不登校の定義は「年間30日以上の欠席」です。この基準に基づいて上記の集計がされています。不登校児童生徒とは、心理的・情緒的・身体的、または社会的な要因や背景により、登校出来ない状況にあるために年間30日以上欠席している子を指します。ただし、病気や経済的な理由による子は除外されています。この定義には該当しないものの、不登校傾向にある子ども達は不登校にカウントされている子の3倍以上もいると言われています。不登校傾向とは、保健室や図書館などで過ごす教室外登校、体育や図工、音楽など興味のある授業や給食など一部の活動にだけ参加する部分登校、基本的には教室でみんなと同じように過ごしてはいるものの、学校が辛いと感じていたり、嫌々通っている潜在的不登校を言います。
不登校児童生徒数増加の背景にあるもの
文部科学省は不登校児童生徒数増加の背景として、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(教育機会確保法)」の趣旨の浸透の側面等による保護者の学校に対する意識の変化、長期化するコロナ禍による生活環境の変化により生活リズムが乱れやすい状況が続いたこと、学校生活において様々な制限がある中で交友関係を築くことが難しいなど登校する意欲が湧きにくい状況にあったこと等を挙げています。
教育機会確保法とは?
不登校児童生徒が教育の機会を失わないことを目的とした法律で2017年2月に施行されました。不登校により、学習の機会を失ってしまった児童生徒に対して、学校への登校を強制せず、その子に合った学習環境の確保を保障しています。この法律のポイントは以下の通りです。
・休養の必要性が認められている
・学校以外の多様な学びの場を選択できる
・学校復帰ではなく、社会的自立を目指す
・国や地方公共団体と民間団体とが連携し、子どもや保護者に対して必要な情報を提供する
つまり、
どんな子に対しても教育の機会を確保することを主旨とした法律なのです。
義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の公布について(通知)
今回の調査結果を受けての所感
やはりと言うか、まさかと言うか。令和4年度も不登校児童生徒数は増加を続け約30万人となりました。新型コロナウイルスの流行という特殊な事情があったにせよ、全国的にこれだけ増えており、更に調査結果に反映されていない不登校傾向の子ども達のことも考えると、こんなにも生きづらさを抱えている子ども達がいることに憤りを感じずにはいられません。今回公表されたデータの中で特に気になったのは、不登校児童生徒のうち約4割が学校内外の専門機関に相談すら出来ていないことです。かねてから言っていますように、私は不登校は問題ではないと思っています。不登校になって、どこにも居場所がなく、自分を責め続けることで劣等感や無能感、自己否定感などのトラウマを抱えてしまうことが問題なのです。どこにも相談出来ていない不登校児童生徒とその保護者の方はどうしているのでしょうか?誰にも相談出来ず、自分を責めてばかりの日々を過ごしているかと思うといたたまれなくなってきます。
これからの不登校対策とは?
上記の通り「教育機会確保法」という法律が施行され、不登校に対する考え方や対応は以前のそれとは大きく変わっています。しかし、この法律はまだまだ浸透しているとは言えない状況です。特に学校教育現場においては、強くそれを感じます。今回の調査結果を受けて、同法第二十条にあるように国や地方公共団体と民間団体との連携を深め、官民一体となって不登校対策を進めていく必要があると感じています。その意味でも、私は山梨県内のフリースクール代表者が集い、横の繋がりを図りながら種々の問題や課題の解決に向けて協力体制を整えていくべく『山梨県フリースクール連絡会』を立ち上げました。今月5日に行われた第1回目の会合では、県内8校の代表者が集い、月内に山梨県に対して要望書を提出することに合意しました。具体的な活動はこれからになりますが、官民一体となった不登校対策を進めることが出来るよう働きかけていくつもりです。
不登校は社会問題です。既に社会問題化しています。それなのに、なかなか理解が進まず、当事者の家庭内の問題という極めて個人レベルで扱われている節があります。従前の不登校対策は真の対策とはなっていません。今こそ、官民一体となった不登校対策を進め、子どもが学びの場を選択できる環境を整えることが急務であると強く思っています。
本日も最後までお読み頂き有難うございました。
もし、お子さんの不登校などでお悩みでしたら「お問い合わせ」の欄からご連絡下さい。
私でよろしければ真摯に対応させて頂きます。
体験型フリースクール「みんなのおうち」
代表 中西紀説