こんにちは!
中西紀説(なかにしのりつぐ)と申します。どうぞ「のんちゃん」と呼んで下さい!
和は山梨県南アルプス市で不登校児の居場所として体験型フリースクール「みんなのおうち」を運営しています。
私自身、中学生の時に不登校を経験しました。父親となってからは我が子も不登校となりました。フリースクールを始めてからは沢山の子ども達と関わってきました。
そんな私の実体験からくる想いを綴っています。
先週末の7月8日(土)に南アルプス市生涯学習センター あやめホールにて「ゆめパのじかん」上映会in南アルプスを開催しました!
今日はその件について書いてみたいと想います。
川崎市子ども夢パークとは?
子ども夢パークは、「川崎市子どもの権利に関する条例」の理念を基に、子どもが自分の責任で自由に遊び、学び、つくり続けていく子どもの居場所・活動拠点となる施設です。
自分の責任で自由に遊び、ありのままでいられる場として、水遊びなどができるプレーパーク(冒険遊び場)やサイクリングロード、全天候型スポーツ広場、本格的な機材がそろった音楽スタジオ、ログハウス、乳幼児の部屋「ゆるり」、本が置いてある部屋「ごろり」等があります。また、学校外で子ども達が多様に育ち、学ぶことを保障する場として「フリースペースえん」を開設しています。
何故、上映会を企画したのか?
体験型フリースクール「みんなのおうち」を開校して2年が過ぎました。その間、色々な出来事があり、泣いたり笑ったりしながら子ども達の変化や成長を目の当たりにする中で実感したことがあります。
それは、本当に安心して過ごせる居場所があると子どもは自ら学び始めるということ。
大人が教える必要もなければ、導く必要もない。時には先輩、時には友人と役割を変えながら、ナナメの位置から関わっていくだけでいい。決して否定的な見方はせず、その子のあるがままを受け入れる存在であり続ける。すると、子どもは安心して自分を出せるようになります。大人への不信感や自ら抱えていた劣等感といったマイナスの感情が癒えてくると、自然とその子が持っているものが開花してくるのです。
一言で教育と言っても、「教え」と「学び」は違います。「教え」とは大人が与えるもの。大人が枠を設けて、その中で知識や教養を授けるという意味で主導権は大人にあります。これに対して、「学び」とは子どもが探求するもの。大人が枠を設ける事なく、主導権は子どもにあります。あくまでも大人は子どもが持っているものを引き出す役割に徹します。
言い換えるならば、「教え」には管理が必要で、「学び」には自由が必要なのです。
そして、紆余曲折を経た結果、私達は「学び」に重点を置くことにしました。管理しない分、枠を設けない分、その環境を整えるのは大変なのですが、学校に行けない・行かない子ども達にまず必要なのは、知識や教養を教え込むことではなく「生きる力(非認知能力)」を育むことだと想うからです。
すなわち、学びの場は学校だけに限らない。学校以外にも学びの場はあるのです!
しかし、この事はまだ全然知られていません。それは日本という国が学校絶対主義とも言える教育方針で、学校以外の学びの場を認めてこなかったからです。当然、現役の子育て世代である私達も、その上の世代も、「学校に行くのが当たり前」「学校には行かねばならない」「学校でしか学べない」という常識が植え付けられることとなります。この常識が足枷となって、学校以外の選択肢という発想すらありません。結果、不登校児童が増え続けています。
私は、不登校自体は問題ではないと想っています。不登校となることで自宅に引きこもり、対人関係も遮断された環境の中で自己否定感や無能感、劣等感といったトラウマを抱えることが問題だと想っています。このようなトラウマを抱えたままで学校復帰など望めるべくもありません。子どもが学校に行きたくないと言った時、学校以外の選択肢があることをもっと知ってほしい。学校以外の学びの場にも目を向けてほしい。心身が元気でなければ次のステップにも進めません。そのためにも、多様な学びの場がもっと周知され、学校に行けない子ども達がそのことでトラウマを抱えることがないようになってほしいと切に願っています。
とは言え、現状ではフリースクールやオルタナティブスクールなどの学校以外の学びの場は文部科学省から正式な認可を受けていません。学習塾などと同じ扱いです。つまり、国からの補助が一切ありません。このような状況下では利用するご家庭からある程度の月謝を頂かないと運営自体が厳しくなってきます。要するに、学校以外の学びの場を利用したくても経済的な理由からそれが出来ないご家庭もあるのです。
参考資料:フリースクールの月謝は平均約3万3千円、入会金は平均約5万3千円
2015年8月5日 文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」より
- 学びの場は学校に限らない。学校以外でも学べる。
- 不登校が問題ではない。行き場がなくトラウマを抱えることが問題。
- 学校以外の学びの場が知られていない。
- 学校以外の学びの場を利用したくても経済的な事情もある。
このようなジレンマを感じていた時に、川崎市子ども夢パークの存在を知りました。ここは家庭でも学校でもない、第3の子どもの居場所を公設民営で運営している先進的なモデルとして、全国的に注目を集めています。学校以外で多様に育ち、学べる場として周知されている上に、利用料もかかりません。そこには学校と学校以外の学びの場とを選べる理想的な環境があったのです。
そのことに大きな感銘を受けた私は、川崎市子ども夢パークを題材としたドキュメンタリー映画「ゆめパのじかん」の上映会を南アルプス市で開催することを決意したのです。
上映会当日
今回の目玉は何と言っても「ゆめパのじかん」の監督である重江良樹さんが来場されること。そして、午後の部終了後に開催されるトークセッションにご登壇頂くことです。この日のために遠路遥々大阪からお越し下さいました。山梨県で「ゆめパのじかん」の上映会を開催するのはこれが初めてではありませんが、重江監督が来場されるのは山梨県初とのことで、いやが上にも盛り上がることでしょう。学校以外の学びの場を知って頂く絶好の機会と捉えた私は、南アルプス市内の全小中学校と幼稚園・保育所にチラシを配布することを決意。チラシを10,000枚刷って、無事に全生徒及び児童に配布することが出来ました。
スタッフの人員と予算の関係から事前予約やチケットの発行は行わず、直接会場に来て頂く形を取りましたので、上映会当日までは何名の方がお越しになるか全く予想もつかない状態でした。そんな中、迎えた上映会当日。大きな混乱もなく沢山の方々にご来場頂きました。子育て中の保護者の方・子どもの居場所を運営されている方・子育てが終わったお爺ちゃんお婆ちゃん・公教育に携わっている先生など多種多様な方々にご参加頂き、アンケートにも熱心にご回答下さって本当に嬉しかったです!
重江監督・川崎先生・私の3人で行ったトークセッションも大盛況。和やかな雰囲気の中、参加された方々のご意見やご質問を踏まえながら闊達な意見が飛び交う時間となりました。「映画を観ての感想」「子どもの居場所とは何か?その必要性とは?」「3年間ゆめパに密着取材されたからこそ見える子ども達の変化・成長の実態」「自己肯定感を育む環境とは?」「子ども達の居場所のために今日から各家庭で出来ることは何か?」などについて、それぞれの立場から考え、想いを語ったあっという間の1時間でした。ご参加された方々にとって何か少しでも気付きや学びとなったのであれば幸いです。また、この難しいテーマを絶妙なテンポと仕切りで回して下さった司会の浅利そのみさんには本当に感謝しています。さすがプロのアナウンサー!感服しました。
今後の展望
こうして無事に「ゆめパのじかん」上映会in南アルプスを開催することが出来ました。今回、南アルプス市及び南アルプス市教育委員会の後援を得ることが出来た上に、南アルプス市協働支援テーマ型活動助成事業として開催出来ましたことを本当に嬉しく想います。その意味で、今回の上映会の実施に至るまでに多大なるご尽力を頂いた南アルプス市市民部市民活動センターの西海桂センター長・保坂久さん・新津幸さんにはこの場を借りて心から感謝申し上げます。また、私を強力にサポートしてくれたあっちゃん・川崎将人先生をはじめとするスタッフの皆さんにも併せて心からお礼申し上げます。
構想から約一年。沢山の方々と共に創り上げた一大イベントは終了しました。しかし、上映会は目的ではなく手段に過ぎません。共感者を募るための手段としての上映会だったのです。私達の目的は、南アルプス市に「ゆめパ」のような施設を創ること。そして、子ども達が学びの場を選べる環境を整えることで、子ども達の笑顔と幸せな人生に寄与することです。この目的を達するため、早速次の動きに取り掛かります。今月29日に南アルプス市「ゆめパ」づくり協議会の第1回ミーティングを開催。共感者の方々と共に「ゆめパ」づくりに向けて始動します!
目指す世界の創造に向けて、私達のチャレンジは始まったばかりです。
本日も最後までお読み頂き有難うございました。
もし、お子さんの不登校などでお悩みでしたら「お問い合わせ」の欄からご連絡下さい。
私でよろしければ真摯に対応させて頂きます。
体験型フリースクールみんなのおうち
代表 中西紀説